田の神、道祖神、かまど神、火の神、水神さま。

暮らしの中の大らかな神さまたち。

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暮らしの中の神さまの話。

 

記紀神話に登場して、神社に鎮座する崇高な神々とは異なり、民の生活に根ざした神さまたちの存在があります。鎮守さま、道祖神、かまど神、火の神、田の神、水神さま、そして祖霊神など、日々の暮らしに密着した大らかな神さまたちの話。

 

氏神、鎮守さまなど土地に拘わる神さまや道の神、道祖神。

 

地域に拘わる神として、氏神、産土神、鎮守さまなどがあります。「氏神」はその名前が示すように、氏族の祖先神や守護神。「産土神(うぶすな)」は生まれた土地の守護神。「鎮守さま」は集落など一定の領域の守護神とされます。が、これらの神々は重なり合い、今では地域の神社において共同で祀る神さまのことを単に「氏神さま」と呼ぶようです。

 

「道祖神」は道に拘わる神。ゆえに、神話の天孫降臨において、道を照らして案内をした猿田彦とされたり、仏教における六道を輪廻する衆生を救う地蔵などともされます。そして「塞(さい)の神」の存在があります。疫病、災害をもたらす悪神が集落に入るのを道の分岐、村境などで防ぐ神さまです。

 

屋敷神、かまど神、火の神、子安神など、家に拘わる神。

 

家に拘わる神として、屋敷神、かまど神、火の神、子安神などがあります。「屋敷神」は家を守り、福をもたらす神。敷地の小祠に祀られ、最近は「稲荷」を屋敷神として祀ることが多いようです。

「かまど神」は食事を司るかまどの神。「火の神」は火伏せの神、火事除けの神です。神話の火之迦具土神を祀る秋葉神社や、愛宕神社の信仰とも重なります。「子安神」は子授け、安産、子育ての神で、子安地蔵や子安観音とも習合しています。

 

山神、田の神、水の神、海の神、市の神など、生産や仕事に拘わる神。

 

「山神」は山に宿る神。山の幸をもたらし、山での安全を守る神。「田の神」は稲作の豊凶を見守り、豊穣をもたらす神。東日本では恵比寿、西日本では大黒が結びつき、稲荷神(倉稲魂命)と同一ともされます。

「水の神」は水源の神、水分(みくまり)神とも重なり、蛇のイメージとされ、さらに龍ともなって池や水源にまつわる龍神の伝承が生まれます。

「海の神」は航海、漁業の神。これも龍神と重なります。また、恵比寿や船霊(ふなだま)信仰とも重なるようです。「市の神」は交易の神。市がたつ村境や四つ角などで丸い石を神体として祀られ、恵比寿や大黒とも習合します。

その他、「祖霊(みおやのみたま)」はご先祖の霊。子孫を守り、祝福します。また、招福の神々「七福神」や正月に迎える「年神」「鬼神」など、民の暮らし中のに生きる神々は大らかで、線引きも曖昧。そして、どこか楽しげ。

 

 


あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。旧神社宮司家の家系であることで、神社縁起と地域伝承の考察や、パワースポットの研究をライフワークとしています。

プロフィール

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