大神神社を目指して

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万葉のふるさと桜井に住んで、早や30数年を過ぎているにも関わらず、

あまりにも地元の事を知らずに過ごしてきました。

最近、土日祭日をゆっくり休めるようになった事を機会に、付近の散策を始めました。

桜井と言えば、大三輪神社、阿部の文殊院、談山神社や長谷寺が有名で、

また近年卑弥呼の墓ではないかと騒がせている箸墓古墳に代表されるように古墳が多く、

邪馬台国ではないかと想像を掻き立てる土地です。

また食の面では、ソーメン作りが盛んで「三輪ソーメン」の名で親しまれておる。

その中でも、大神神社は毎年の正月に参拝に行く程度で、

その内容はあまり良く分かっていませんでした。

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相撲神社の鳥居

日本一の大鳥居を誇り、三輪山をご神体とするこの神社は、古来より人々に親しまれ、

そのご神体は『巳さん』ともいわれ『白蛇』だと言い伝えがあります。

その証拠に、大神神社では、

ご祭神を国造大己貴命(くにつくり おおなむちのみこと)とも称します。

この大己(おおなむち)とは、大蛇の意味です。

また境内に立っている神杉の中には、白蛇が住んでいるとも云われており、

この神杉の前には常に玉子とお酒が供えられています。

この神様は、少彦名命(すくなひこのみこと)と力をあわせ、

心を一つにして不安定な国土を固め造られた神であると伝えられています。

 そもそも、不安定な国土を固め造るように命じられたのは、

大己貴命では無く、伊耶那岐命(いざなきのみこと)と、

伊邪那美命(いざなみのみこと)であったのです。

この二柱が、天上の高天原の神々(天つ神)から、

地上の不安定な国土を「修理固成」(つくりかためな)せ、

初めて命じられたのであります。

ところが『古事記』や『日本書紀』では、伊邪那美命が火の神を

お産みなされた後崩御したために、国造りの事業は中途で終わりました。

そこで改めて修理固成の神勅を継承する神が求められ、その大役を担ったのが大己貴命なのであります。

大己貴命は、少彦名命と協力して天下を経営し、

医療や農耕畜産など人々に役立つ方法や技術を教え広めるなどの国造りに尽力されました。

今、現在に生きる私たちにはうかがい知れない、古からの言い伝えです。

また三輪山の麓には、古来より伊勢神宮へ通ずる上街道沿いの、初瀬川の谷口に位置する町として、

また、中世の三輪市に始まる市場町、または上街道の宿場町として、

さらには大神神社の鳥居前町として発達した『三輪』があります。

奈良の都より三輪を通り伊勢街道へと通じて行く道、すなわち山の辺の道を辿り、

大神神社を参拝しようと思い立ちました。

この大三輪神社は、登山が可能と聞いていましたので、

今回の秋の3連休を利用して、登山することを決めました。

普通、山の辺の道を歩くには、桜井駅からバス又はJRにて三輪駅に出るか、

バスで三輪の二の鳥居まで来てから大神神社を参拝、狭井神社を経て、

桧原神社から天理方面に抜けるのですが、その流れとは逆方向に歩いてみようと思います。

JRの桜井線に乗って、三輪駅の一つ先、巻向駅でおりて国道を伝い、まず相撲神社を目指して坂道を登ります。

此処は日本の国技である相撲発祥の地と言われ、

その昔、野見の宿禰と當麻の蹶速が初めて天覧相撲を行ったところです。

この時の勝負は當麻の蹶速が敗れ、野見の宿禰が勝ったと言われています。

この場所であの大横綱の大鵬と柏戸が土俵入りしたことがあるそうです。

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相撲神社の石像、野見の宿禰と當麻の蹶速が相撲を取った地を顕す石柱です。

この地は古代より栄えた纏向遺跡を見下ろす山の中腹にあります。

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しばし休憩のあと、山辺の道に戻り、大神神社目指して歩きます。

天理方面に向かって逆の方向へと進んでくる、

何組かのグループと挨拶を交わしながら歩き続けました。

民家の間を通り、車の通る道路をたどり、20分ほど進むと、

やがて右方向に山裾を伝うようにして歩いて来る人々に出会いました。

たぶん、あの辺りが桧原神社でしょう。元伊勢と呼ばれる神社で、

あそこまで行けば大神神社は近くになります。

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山の辺の道と言えば、古の古道。狭い山道を想像していたのですが、

この辺りで車が何台も追い越して行きます。やがて小さな橋を渡りきると

右手に、右 桧原神社 左 笠山荒神の標識が現れ、右方向に道を

それるとアスファルトから土の道に変わりました。

山の裾野を伝うように歩くこと10分、桧原神社に辿りつきました。

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此処は伊勢神宮に遷宮される前、天照大神がお祭りされていた場所なので、元伊勢と言われています。

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この檜原の地は大和平野を見下ろす絶好の場所で、

春分、秋分に頃には神社の正面に見える二上山に沈む夕日の美しさは格別なものでしょう。

此処で丁度お昼時です。境内には随所にベンチがあり、

お弁当を楽しんでいるので、休憩を取り、食事にしました。

しばし休憩のあと、大神神社を目指しての歩きを再開しました。

ここを出ると、道は急に細くなり石畳や、砂利道が続きます。

やがて日本刀の鍛錬道場の月山記念館を右手に見ながら歩いてゆくと、5分程で狭井神社に到着しました。

              

ここには三輪のお山からの天然水が湧き出る場所があり、飲料用に販売しています。

乾きを満たす楽しみは後にして、先に参拝登山をすることにしました。

入山の前の注意事項の説明を受け、入山証に氏名、

電話番号を記入したあと、おタスキを頂きます。

何故かおタスキには鈴が付いていて、歩くと鈴の音がします。

たぶん、獣除けでしょうか。なお入山料は300円要ります。

ここでの注意は、お山自体が信仰の対象であるため、

写真撮影はNG、飲食や喫煙も駄目と言うことで、

往復約2時間かかると聞いてびっくり!(但し水を飲むのはOK

麓から見ると低い山にしか見えなくて、せいぜい往復1時間程度かと軽く考えていました。

少し、不安でしたがせっかくなのでチャレンジです。

標高は467Mあり、その昔、作家の三島由紀夫も登ったそうです。

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登山入り口で竹の杖を借り、第一歩を踏みだしましたが、登り出して間もなく息切れし、

こんな調子では先が思いやられます。

30メートルほど上がったら尾根に出て少し楽に、

その後は一旦坂道を下り沢に出ました。

この沢を遡行して段々ときつい山坂の道を上がります。

川の横を通り、木で土止めを施した階段を辿り、上へ上へと向かいます。

かなり急なこう配が続き、汗が噴き出、杖に頼らないと足が上がりません。

途中で何人もの下山する人々とすれ違いながらの登山です。

中には向こうから降りてくる人々を交わす為に立ち止まり、

すれ違いをしないとならないような場所もあり、大変な山登りです。

何度も小休止を取り、ようやく3合目(3番)の滝に到着。此処は滝行を行う場所とのこと。

最近立てられた休憩小屋にて小休止を取ります。

同じように休憩した若いご夫婦と一緒に出発、4番を過ぎ、

5番の見晴らし台を過ぎたところで、足をふみ違い太ももの筋肉を痛め小休止していた所、

下山してきた若い婦人に『この先はもっときつい場所があるからあきらめた方が良いですよ』

と勧められて、あえなくリタイアすることにしました。

無理をして降りられなくなっては周りの人に迷惑をかけます。

実は山登りは初めてではなく、2000M 近い山にも10年連続で登山した事もあったのですが、

なにせ17年も前の話です。ましてこの山は、当時登った山より傾斜が強く、道が険しくて大変です。

二人並んで進む事が出来ないほど狭いのです。

痛む足を庇いながらようやく無事下山しました。

登山開始から1時間20分、下山してお水にありつき乾きを潤してホット一息です。

ここからは最終目的地の大神神社へは直ぐの距離なので痛む足を庇いつつ歩きました。

坂道を下る途中にお酒の神様をお祭りする活日神社を見かけ参拝。

ご祭神の高橋活日命は崇神天皇に命じられ、大物主大神(大神神社の大己貴命の事)に

備える神酒を醸した掌酒(さかひと)杜氏の祖神として酒造関係者から篤く信仰されています。

       

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いよいよ大神神社に辿りつきました。3連休の初日とあってか、参拝客も多く見られ、

また少し早い気がしますが七五三のお参りでしょうか、双子の男の赤ちゃんと、

三歳になった女の子の家族連れが記念写真を撮っているのですが、

女の子がちょろちょろ動くので撮影に大わらわの様子でした。

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白蛇が棲んでいると伝えられている、大神神社の大杉

今月1023日には、秋の豊穣に感謝する大神祭の宵宮が、

開けて24日は本宮、25日は後宴祭と大祭が控えています。

中でも24日の祭典では宮司が世の中の平安無事と、五穀豊穣を願って祝詞を奏上し、

引き続き四人の巫女が「うま酒みわの舞」を優雅に舞うそうです。

午後からは大美和青年会や、三輪町内各所の子供らが法被姿で太鼓台を担ぎ、

町内を練り歩き、その後太鼓台(お神輿)は拝殿前に集合し、

三輪の神様に感謝のお参りをします。

参拝後は神前に供えられたお餅が配られ、大変な賑わいとなるそうです。

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大神神社

633-8538 奈良県桜井市三輪1422

TEL 0744-42-6633 FAX 0744-42-0381

シルエット作成者:おわっシー








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