湊稲荷神社

湊稲荷神社

 

神社の数がもっとも多い都道府県はどこか」と問われて、即答できる方はなかなかいないのではないかと思う。

神社の数は、東京や大阪などの大都市でなく、実は新潟県が一番多い。その数、実に4700社以上。

パワースポットとして有名な神社、個性的な神社などバラエティに富んでおり、神社巡りが好きな方にはたまらない地域と言えるだろう。

今回はその中から、新潟市にある湊稲荷神社をご紹介させていただきたい。

全国的にもめずらしい(おそらく唯一ここだけと言われている)方法で願掛けをする、

ちょっと風変わりな神社として有名だ。

湊稲荷神社2

こちらの神社では、なにはともあれ狛犬に注目である。

「稲荷神社なのに、狐様ではなく狛犬?」と不思議に思われる方もいるだろう。

しかもこの狛犬、一見変わったところはないように思える。

湊稲荷神社3

しかし、よく見ると・・・なんと台座から回転するのだ。

湊稲荷神社5

湊稲荷神社4

ぐるぐる ぐるぐる

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しっかり一周クルリと回ってくれる。

願をかけながら、男性は右側・女性は左側の狛犬を回すのが、この神社特有の願掛けなのである。

湊稲荷神社7

なぜこのような願掛けが始まったのだろうか。その由来は江戸時代にさかのぼるようだ。

舟運が盛んだった江戸時代、新潟港は次々に寄港する廻船で大変にぎわっていた。

そのころ、湊稲荷神社のある周辺は花街として知られ、船乗りたちは出航まで花街で遊ぶのが習わしだった。

花街で働く遊女たちとしては、馴染みの客に一日でも長く通ってもらいたい。

そのためには、彼らの船が出港するのをなんとしても止めたい。

遊女たちは、夜中にこっそりと狛犬を西の方角に向けて、一心に荒天祈願をした。

すると不思議なことに、急に西風で海がしけて、船乗りたちはなかなか出航できなくなったのだという。

湊稲荷神社の宮司さんによると、荒天祈願というのは全国的にもあまり例がないらしい。

商売熱心であった新潟の遊女たちが、船乗りたちにもう少しお金を落としてもらいたいと願ったのだろうか。

いやむしろ、彼女たちは一夜をともにした愛しい男性と離れがたく、もう一度会いたいと必死に願掛けをしたのかもしれない。

そう思うとちょっぴり切ない話なのだ。遊女たちの願掛けがいつしか評判となり、

いつしか湊稲荷神社は「願いをかなえてくれる狛犬がいる神社」として有名になっていった。

ちなみに、今の願掛け高麗犬は三代目だという説が有力だ。

初代はなんと、不届き者が堀に投げ落とし、引き揚げることができずにそのまま堀ごと埋め立てられたという。

おそらく多くの遊女たちの願いを叶えてきたと思われる初代狛犬だが、不憫な最後を迎えたようだ。

二代目も長年風雨にさらされ、頻繁に願掛けされたため損傷が激しかった。

こちらはなんとか文化財として保護され、現在は拝殿に大切に安置されている。

現役の狛犬は平成7年に完成したものだが、台座にさしこんである軸が頻繁に回されて摩耗するので、

半年に一度くらいのペースでメンテナンスが必要らしい。現在でも、多くの人が願掛けに訪れているというのがよく分かる。

ところで、「稲荷神社なのにお稲荷様はいないの?」と思われるだろうが、狛犬の奥にしっかりお稲荷様も存在する。

こちらのお稲荷様のお狐様は、ものすごい笑顔だ。

湊稲荷神社8

・・・しかし何かがおかしい。よく見ると、足が麻ひもでグルグルにされているのだ!

こちらも、この神社の特徴的な願掛けである。

その昔、夫の悪所通いに悩む女性たちが、夜中にこちらのお稲荷様に「二度と他の女性のところには行きませんように」と祈願。

夫が好き勝手によそへ行けないようにと、お狐様の足をグルグル巻きにしたのが由来とのこと。

お狐様の足を縛り、夫と他の女性との破局を願ったというのだから、女の情念とはおそろしい。

境内には、この木をくぐると子宝を授かると言われるご神木もあるし、縁結びの絵馬もある。

湊稲荷神社9

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古くから、狛犬もお稲荷様も、女性の必死の願いを叶えてくれていたのだ。

クルクル回されたり、紐で縛られたりするのに・・・実に懐の広い神様である。

日本で唯一の願掛けができる湊稲荷神社、機会があればぜひ一度足を運んでみていただきたい。

 

湊稲荷神社

所在地:新潟市中央区稲荷町3482

電話:025-222-6549

シルエット作成者:ぴよ54








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