神社百景。「美の極致、厳島神社」
神社百景。「美の極致、厳島神社」
前方の海中に厳島神社の象徴、大鳥居が聳えている。
古く、この宮へは海から舟で大鳥居をくぐって参拝したという。
青い水面に浮かぶ朱塗りの回廊が屈折して、水上を本殿、拝殿へと導く。
拝殿で参拝を終えると、社殿群の前面には高欄をめぐらした高舞台。
その前面には平舞台が広がって、海とこの宮を一体化している。
厳島神社の朱塗りの社殿群と青い水面の対比はこの宮特有の景観。
美の極致、平清盛はこの宮に極楽浄土を表わしたとされる。
厳島神社(いつくしまじんじゃ)は、広島県廿日市市の沖に浮かぶ宮島に鎮座する安芸国一宮。
推古天皇元年(593年)の創建とされ、全国500社の厳島神社の総本社。世界文化遺産に登録されている。
古来、「安芸の宮島」と呼ばれ、日本三景のひとつとされる名勝。
海中に立つ大鳥居や朱塗りの社殿群が海に浮かぶさまは、殊に、圧巻。
廻廊、社殿群は国宝に指定されている。
平安末期、日宋貿易を推しすすめる平清盛は、瀬戸内海の航路を整備、
海上交通の守護として厳島神社を篤く保護した。
大野瀬戸に面した湾の奥に建つ海上社殿は、平清盛の寄進とされ、
平安期の寝殿造りの粋を極めたものといわれる。
朱塗りの社殿群と青い水面の対比、前方の海上に聳える大鳥居、
背景の弥山の緑など、すべてが計算し尽くされたもの。
そして、この宮の最大の魅力が、瀬戸内海の大きな干満差を使った演出
社殿は潮が満ちると海に浮かび、潮が引くと高床のさまを見せることで、
社殿はその表情を刻々と変える。この宮の美しさの秘密。
平安期の浄土信仰における極楽浄土を表わしたともされ、清盛の平安的センスともいわれる。
伊都岐島大明神の古扁額。古く、神に斎く(いつく)という意で、
伊都岐島神社(いつきしま)とされたという。
厳島神社の周辺には、個性溢れるスポットが多い。
隣接する塔岡には「千畳閣」称される巨大な大経堂。
豊臣秀吉が天正期に安国寺恵瓊に建立を命じたもの。
秀吉の死により未完成の状態のまま残され、明治以降は豊国神社となっている。
千畳閣の横の「五重塔」は室町期の建立、均整のとれた美しい姿をみせる。
西の丘陵の「多宝塔」。上層は円形、下層が方形という珍しい構造。
厳島神社の裏手、風情あふれる「滝小路」の坂道の奥には大聖院の伽藍が広がっている。
タイムスリップしたような「町屋通り」や、厳島最古の参道「山辺の古径」なども人気。
厳島神社の後背の紅葉谷から弥山の獅子岩まで、ロープウェイで登れる。
厳島神社の背後に聳える神体山、「弥山」は弘法大師、空海が開いた霊山。
山上には堂宇が散在し、古代の磐座とされる巨石群はパワースポットとして人気。
この弥山の堂宇に、弘法大師の伝説で1200年間も燃え続けている
「消えずの火」があり、恋愛、縁結びのご利益スポットといわれる。
ここは瀬戸内海を望む絶景スポットでもあり、「恋人たちの聖地」ともされる。
宮島桟橋から厳島神社までは表参道商店街。
土産物店や食事処、旅館などが軒を並べ、参拝客で賑わう。ここで眼につくのが
「しゃもじ」
宮島のしゃもじ製造は、特産品として江戸期に始まったもの。
また、幸運、福運、勝運の縁起物としても人気。そして、
おなじみの「もみじ饅頭」
10店以上のお店があり、それぞれ、個性的な味が楽しめる。
また「宮島かき」も人気
宮島かきは香り、味、歯ごたえともに極上とされ、土手鍋や焼がき、フライなどが楽しめる。
厳島神社では欧米からの観光客をよく見かける。
厳島神社の美しさは、世界有数のものといわれ、とくに欧米での人気は高い。
海の女神たちの存在と平安期の極楽浄土の思想、そして、平清盛の平安的センスの
絶妙なバランスの上に成り立った、奇跡ともいえる建築。
殊に、美の極致。
厳島神社
広島県廿日市市宮島町
祭神 宗像三女神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)
式内社(名神大)安芸国一宮 官幣中社 別表神社
創建 推古天皇元年(593年)
交通アクセス
JR西日本山陽本線 宮島口駅 徒歩5分
広島電鉄宮島線 広電宮島口駅 徒歩すぐ
宮島口桟橋よりフェリー 宮島桟橋 徒歩15分
作成者:あらき 獏