色で知る神主さんの地位

 

神社をお参りするときに神主さんを見かけることもあると思いますが、実は袴の色で階級が分かることをご存知でしょうか。

全 国に神社の数は約8万社あり、それぞれ独立採算の宗教法人ですが、その内99%は神社本庁の包括下にあります。神社本庁は戦後に内務省外局の神祇院の業務 を引き継ぎ、皇典講究所と大日本神祇会、神宮奉斎会が統合され発足した民間の組織で、神主さんになるには神社本庁からライセンスを戴く必要があります。正式には神職と呼称しています。

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写真:神社本庁WEBより

 

因みに私は神社本庁の元職員ですが現在は非包括下の神社の宮司ですから、正式には神職資格を持った神主さんということになります。

神 職資格は浄階・明階・正階・権正階・直階と、5段階に分かれています。先日テレビで拝見しましたがご実家が神社のお笑い芸人の方が1ヶ月程で資格を取って いたのは直階だ思います。ランクアップする毎に難易度は増しますが、浄階のみは名誉的な階級ですので長く神職を務めて功績があった方にしか授与されませ ん。

では袴の色は神職資格の階級で決まるかというと、そうではありません。神職資格はあくまでライセンスで、神社の神職として任用された時に付与される階級がもう一つあるのです。それが神職身分というもので、特級・1級・2級上・2級・3級・4級と、6段階に分かれています。

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写真:白糸の滝にて著者

3 級と4級は浅葱(あさぎ)という青っぽい袴で、若い方が殆どですが、歳を重ねてから神主さんになる方でまだ経験が浅いとこの色になります。次に2級になる と紫の袴です。一般の会社では管理職に当てはまるような地位になります。その上、2級上は紫に紋が入った袴になりまして、大きな神社で宮司さんや権宮司さ ん等です。そして1級・特級になると白に紋が入った袴になります。この階級だとかなり大きな神社で功績がある実力者が多く、各都道府県で数えるほどしかい らっしゃらないのでかなりレアといえます。因みに学生や見習い扱いの時期は白袴を用います。

このように袴の色で神主さんのランクがわかってしまうのですが、全国に唯一例外があり、それが伊勢神宮です。神事の様子を見て頂くと分かりますが、上から下まで約100人の神主さん白一色です。

 

 


山本英任

皇學館大学を卒業後、平成18年に神社本庁に奉職、平成21年から同23年まで伊勢神宮へ出向し20年に一度の式年遷宮に奉仕する。

現在は郷里の糸島において神在に鎮座する天神社の宮司を務める。

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