神棚は家の中で神さまに宿っていただく場所
神棚の話。
神棚には神社でいただいたお札を納めます。お札は神さまの分霊、神棚を置くことは、神さまに傍にいていただくこと。健やかに、平穏に暮らすことを日々、神さまに誓って心のよりどころとします。
神棚には伊勢神宮や氏神さまのお札を納めて、家や家族を見守っていただきましょう。
伊勢神宮は国の氏神、祭神の天照大神(あまてらすおおみかみ)は、日本の最高神。氏神(うじがみ)さまは、同じ地域に住む人々がみんなで祀る神さま。その土地の守護神。神棚には伊勢神宮や氏神さまのお札(おふだ、神札)を納めて、ご利益(ごりやく)をいただきます。そして、自身が崇敬する神さまにもパワーをいただきましょう。
神棚には扉が一枚の「一社宮」と三枚の「三社宮」とがあり、一社宮にお札を重ねて納める時には、上から伊勢神宮、氏神さま、そして、その他の崇敬神社の順にお札を納めます。三社宮は中央に伊勢神宮、向かって右に氏神さま、左に崇敬神社のお札を納めます。神さまにはお祀りする順序があります。
神棚の祀り方、神具や神饌(お供え)の作法や決まりごと。
神棚は高く清浄な場所で南か東向きでお祀りします。玄関など人が出入りする場所はさけ、居間、座敷など家族が親しみやすい場所がよいでしょう。上に部屋がある場合はこれより上は天という意味で、神棚の上部に雲のかたちの雲板を付けたり、「雲」の字を書いた紙を貼ります。
神棚を正式にお祀りする場合、中央に神鏡、左右に榊立てと灯明を配し、お酒を入れる瓶子(徳利)1対、米と塩の皿、水を入れる水玉を配し、前面にしめ縄を付けます。神饌(お供え)は米、塩、水、酒が基本。珍しいもの、季節のものなどもお供えします。米、塩、水は毎日、榊(さかき)とお酒は毎月1日と15日に新しいものに替えます。お正月やお祝いの時にも新しくします。
朝に、夕に神さまにご挨拶をして、一日を過ごすことは素敵なことです。
毎朝、起きて身づくろいを整えたら、神さまにご挨拶をしましょう。神棚への拝礼は神社への参拝と同じ作法、「二礼二拍手一礼」が基本です。拝礼の前には神社で手水をするように手を洗い、口をすすいで清めておきましょう。そして、神さまに今日一日の平穏を祈ります。毎朝、そんな決めごとを行うだけで、気持ちが落ち着き、安心感が広がるものです。流行のルーティーンです。要は、自身の心のよりどころづくりでしょうか。
神棚に神さまをお祀りすることで生まれる、一日をつつがなく過ごそうとする決意が、健やかな日々に繋がるといわれます。神さまを信じる信じないという問題よりも、神さまを意識することで、自分自身がよりよい一日を納得して過ごせれば、意義があること。それが、自身の中の神さまの存在というものでしょうか。
あらき 獏(ばく)
情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。神社宮司家の家系であることで、神社縁起と地域伝承の考察や、パワースポットの研究をライフワークとしています。